婚活日記〜運命の相手を探しに〜イリュージョンくん〜

出会い

初めての一人海外、カナダで知り合った、10歳年上の彼。

当時21歳の私は、初めての外国生活で「英語は話せない」「友達もいない」「生活方法もわからない」のないないずくし。そんな不安を取り除くため、カナダに住む日本人のためのネット掲示板に、「友達募集」の掲載をした。

年齢、性別、様々な人からの連絡が来て、一番初めに連絡をくれたのが彼だった。当時の連絡手段と言ったら、現地番号でやりとりするか、ホットメールが主流。

数日後、掲示板に載せていた私のEメールアドレスに連絡が来て、ダウンタウンにある本屋さんの前で待ち合わせをした。

 

日も暮れた始めた17時。

ドキドキドキ。。。。

鶴子さんですか?

振り返った先にいたのは、大東俊介撃似のイケメンだった。

 

当時、まだ大東俊介が世に出ていなくて、その後になって、テレビで初めて見た時の衝撃は今でも忘れない。

彼のプロフィール

身長 182cm

年齢 31歳

職業 元ホテルマン

英語はペラペラ

最後のワーキングホリデーの機会を使って休暇を楽しみながら、現地でウェイターをしているそうだ。

鶴子
鶴子

はい!始めまして。◯◯さんですか?

はい、◯◯です。こんばんは。始めまして。

爽やかな彼の笑顔に、私は一瞬で恋に落ちてしまった。21年間生きてきて、こんなにビジュアルのかっこいい人に会ったのは初めてだ。

12月の真冬のカナダ、外での立ち話は凍えてしまうので、私たちは彼の勧めてくれたレストランへ、向かうことにした。

紳士的な彼

お店のドアをサッとと開けてくれる。

私のコートを受け取ってくれる。

率先して食事の注文をしてくれる。

全てが、カッコ良く見えた。

なんて!ジェントルマンなのだろうと。。

初めて「レディーファースト」というものを体験させてくれた、私の彼への株はが上がることしかしなかった。

鶴子ちゃんは何でワーホリでカナダに来たの?

鶴子
鶴子

外国に憧れてて。英語も喋れるようになりたかったからです!!

席に着くときにはもうすでに、二人の仲は打ち解けていた。

 

そっか。良い心がけだね!現地に来るのが一番早いよ!カナダの生活はどう?楽しい?

鶴子
鶴子

楽しいとかもわからないくらい、ナイナイずくしです。だから今日は、日本人に会えてホットしました!

「うん、うん、うん。」「そうだよね。そうだよね。」と、穏やかに私の話に耳を傾けてくれた。優しくかっこいい顔で話を聞いてくれる、会話は思った以上に弾んだ。

あっという間に時間が過ぎて、私の目にはずーっと彼がカッコよく素敵に写っていた。その時間が、楽しすぎたこと以外は、何を話したのか覚えていない。

夢のような時間

3日後にまた会う約束した。ホームステイ先の家まで3、4日おきに迎えにきてくれた。買い物、お茶、ドライブ、デートを重ねた。

ステイ先の家族とも気さくに話してくれた。ホームステイのお母さんが「鶴子の彼氏かっこいいね!」と言ってくれて、幸せの真っ只中だっただろう。

恋人同士かどうかを確かめることはしなかったけれど、恋人と言って良かったのだと思う。自分が彼の彼女かどうかを知ることが、怖かった訳ではない。

確認をする必要がないほど、十分に満たされていただけだ。

日本帰国から再会

そんな関係が数ヶ月続き、私が日本に帰国することになった。

彼もその何日後かに帰国という良いタイミングで、また日本で会えると良いな、という淡い期待を持ちながら「また日本でね!」とカナダをたった。

帰国後は、卒業論文と就職活動に追われていた。そんな最中、一通のショートメッセージが届く。

 

彼からだ!!!

鶴子ちゃん元気?!日本に帰ってきたよ!また会おう!

パソコン室にこもって、卒論作成中の私の心は舞い上がった。

鶴子
鶴子

やったー!きたきたきたーっ!!!!!(心の声)

すぐに会う約束をし、その後も食事を繰り返した。

こんなにカッコ良くて、大好きな彼にまた会えるなんて!!デートしたり、出かけたりすることができるなんて!!卒論も就活も頑張ってよかったなぁ〜。ご褒美ご褒美と思った。

クリスマスは彼の自宅に呼ばれ、ちょっとしたプレゼントもくれた。

卒論終わってよかったね。お疲れ様。

鶴子ちゃんは本当にきれいだね!

鶴子
鶴子

うふふふ。そうかなぁ。。。ありがとう!

 

そんなことを言ってもらえるなんて。。私の頭の中はフワフワ状態。

彼と知り合ってから1年半ほどたった頃、恋人同様のことをしていても、私は彼の彼女ではなかった。大好きだったから、「彼にとって私はどんな存在なのだろう?」ということが知りたくなっていた。

告白されたわけでもない。そういえば、「好き」と言われたことあったけな。。思い出せないけれど。。。

前に彼女がいたことを話してくれたから、恐らく私は彼の彼女ではないのだろうと、日本に帰ってきてから薄々感じていはいた。

それでも、「きれいだね。」「かわいいね。」そんな言葉をかけて、いつも連絡くれた。

彼の彼女になりたいなーと、漠然と思った。

思いを伝えよう

初めて会った時から、ずーっと彼に恋をしていた私は、彼女というポジションに、なりたくってなりたっくって、どうすれば良いか考えた。

彼はずーっと気付いていたのだろう、私が彼に好意を持っていること。

横浜に夜景を見に行こうと誘ってくれた。食事をして、手を繋ぎながら夜景を一緒にみた。

初めての告白は緊張した。

鶴子
鶴子

〇〇さん。私ね、、、〇〇さんが好きだよ。

。。。。。。

。。。。。ありがとう。鶴子ちゃん。

鶴子
鶴子

。。。。。うん。

想いを伝えることが、精一杯だった。彼に確認することも、そのあとの返事を待つこともなく、その日はそれで横浜を後にした。

彼もそれ以上、何かを言おうとしてくれることもなかった。

一瞬にして消えた

そのあとといったら、、手品のイリュージョンで、パッと人が消えて居なくなるみたいに、彼からの連絡はプツリと途絶えた。

悲しすぎる。。。

2週間程したら、連絡が来るものだろうと、期待していた。

彼女になれるのか、振られるのか、何かしらの「答え」を聞かせてもらえるものだろうと思っていた。

ただ、「良い」のか「良くない」のか「好き」なのか「好きじゃない」のか、分かりやすい「返答」それが欲しかっただけだ。

夜景の告白から1ヶ月が経ち、彼からの反応がどうしても欲しくて、1通だけメールを送ってみた。

彼からの返信はもちろんない。

最後に願いを込めて、一回だけ電話をかけてみた。

それでも何もない。音沙汰もない。

 

私はというと、それから5年くらいの間、彼の存在を引きずった。

あんなに恋人同士みたいな関係性を保って、告白したらパッと消えて目の前から居なくなる。彼という人が、よくわからなくなってしまったから。大好きだったから。

会うことはおろか、話すことも、連絡を取ることも、何もできない。反応なし。完全な無視。

その後は、時間だけが私を癒してくれた。

 

彼を、イリュージョンくんと呼ぶことにする。

 

NoならNoと言って欲しい、そんな気持ち、それだけだったのにな。。。。徐々に消えていくフェードアウトではなく、イリュージョンでパタリと相手が消える居なくなる。

最初はただ驚いて、そのうち悲しくなって、わからなくなって、腹が立った。私が彼の立場なら、NoでもYesでも反応を示す。それが「誠意」だと思うけれど、彼はイリュージョンくんだったから仕方がない。

30をいくつか超えて、今はわかる。

彼にとっての私は都合の良い女性だったこと。

彼の「。。。ありがとう。」という言葉が、最大の反応であり、告白の答えだったこと。

そんなものなのかな。。。恋愛って。ああ、そんなものなのだろう。。。

私は大人になった。

 

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